愛宕山サロン〜幻のブラットハラーコンサート&トーク
2003年3月27日(木)14:00〜16:30
NHK放送博物館 (東京都港区愛宕2-1-1 03-5400-6800)

ブラットハラーとは“木の葉の響き”の意。現存する世界唯一ヒトラー時代のスピーカーを使ってのCDコンサート。ピアニスト滝澤三枝子、ギタリスト長野文憲、館長中田薫と、ご来場のお客様も加わって、音大好き人間の楽しいおしゃべりが繰り広げられました。

コンサート終了後、中田薫館長とともに
ブラットハラースピーカー(1926)
シーメンス社(独)製。強い磁界の中に平面振動板を浮かべた構造になっています。動態保存例としては世界で唯一の貴重品です。


アンプは中田館長手作りの真空管アンプを使用。
アナログ方式でのマスタリング(「ラ・クンパルシータ」)や、ワンポイント録音・ノーイコライジング(「カンシオン〜天使のミロンガ」)により収録された自然なギターの音と、77年前に製作されたスピーカーの素直な再生音がぴったり合って、素晴らしい音が部屋中に響き渡りました。
滝澤さんのピアノによるスペイン物も、細かい音色の変化がリアルに再現され、まるでギターの演奏を聴いているような錯角にとらわれました。歌心と感性がそのまま再生されているという印象でした。

ハイテクを駆使した現在のスピーカー、高音・中音・低音用にそれぞれ別けられていたり、イコライザーを使用することが当然という時代になっていますが、私の耳には、電磁石と単一の振動板だけを持つこの簡単な構造のスピーカーから流れる音の方が、むしろ自然に聞こえました。
皆さんも機会があれば是非このブラットハラースピーカーの音を実感してみて下さい。放送博物館に行ってお願いすれば、いつでもかけてもらえるそうです。


当日使用されたCDと曲目

●『ラ・クンパルシータ』BOCD-9647 
花祭り,アメリアの遺言,ロマンス,鉄道員,ベサメ・ムーチョ, さくら,イ長調のミロンガ,ラ・クンパルシータ,ギターよ教えておくれ,アストゥリアス,アルハンブラ宮殿の想い出,ナナ(子守歌)

●『カンシオン〜天使のミロンガ〜』BMCD-9050 
鐘のひびき,エル・チョクロ,朝日のあたる家,エデンの東,ブエノスアイレス午前零時,こおろぎのサンバ,シクラメンのかほり,ブーベの恋人,恋する鳩の踊り,ショーロス第1番,天使のミロンガ

●『滝澤三枝子 スペイン名曲集』CPD-1047 
アルハンブラの想い出,タンゴ,コルドバ,前奏曲(アストゥリアス),回想(エヴォカシオン),嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす,歌と踊り第1番,歌と踊り第2番,入江のざわめき,アンダルーサ,火祭りの踊り,マラゲーニャ


         
 尚この企画は以下の事業の特別編として開催されました。

       ◇ 2月25日(火)〜28日(金)13:30〜15:00
      テレビ放送開始50年/幻のスピーカー 
               
よみがえる『ブラットハラー コンサート』
         2/25,26 愛宕山ホール 2/27,28 3F多目的スペース
中島みゆき「地上の星」、マレーネ・ディートリヒ「リリー・マルレーヌ」などに混じりCD「カンシオン」も使用され大変好評を頂きました。