心がポカポカしてくるアルバムである。
一見、名曲を並べただけに思える。
聴き続けると、不思議なノスタルジーを覚えさせてくれる。
だが、名曲アルバムに付き物の古臭さは微塵も感じられない。
何故だろう?
僕がギターを始めた昭和40年代前半、日本は空前のギター・ブームだった。 正月ともなれば、お年玉を持った若者が楽器屋の前に並んだ時代。
そういえば、あの頃、ギターの通信教育があって、このアルバムの 「花祭り」や「アメリアの遺言」等はそれを通 じて知ったのだった。 どの曲も理屈はともかく、ハートにグッとくる音楽だった。これが本物の 音楽だと思った。しかし、いつの頃からだろう?まだまだ子供だった僕は、 これらの曲と出会い、そして感動した事さえ忘れてしまった気がするのだ。
長野文憲さんは、その感動をしっかりと捕まえて歩いて来た人だと思う。
このアルバムを聴いていると、僕より幾つか年上の文憲さんは、ちょうどあのギター全盛期に 燃えるような青春時代や恋愛時代を送っていたのだろうなぁと思わせてくれるシーンが見えてくる。
そこが、なんとなくくやしい。
古臭さを感じないのも、当然。彼の指は、“あの時の感動”を音に変えてくれるのだが、 それは今も彼自身の心の中に息づいている “生きた感動”だからである。 それが時には「ナナ(子守り歌)」や「ミロンガ」といった暖かい自作となって現れ、 「ラ・クンパルシータ」での鋭い切れ味になって現れる。
そして、ギターから多くを得た文憲さんが弾く、ユパンキの秘曲「ギターよ教えておくれ」 には彼の生き様のすべてが象徴されているのである。
<Recording Memo>:
デジタル録音でアナログ音再生に挑戦。生の臨場感を体感下さい。
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